横浜ゴムの価値創造ストーリー
横浜ゴムを取り巻く事業環境
経済状況
世界
- 中国や新興国は成長鈍化
- 欧州は持ち直しの動き
- 米国は安定的に推移
→ 世界経済は緩やかに回復
日本
- 政府の経済政策などで雇用や企業収益の改善が続く
→ 景気は緩やかに回復
タイヤ業界の状況
昨年に続き、円安が進行し、天然ゴムなどの原材料安、原油価格が下落しましたが、価格競争の激化により厳しい環境は続いています。引き続き、販売力の強化、業務の効率化、コスト削減に取り組むことで対応を強化していきます。
為替相場
※月平均為替価格(円/ドル) 資料:日銀
天然ゴム価格
※RSS3号 月末終値(USセント/kg) 資料:シンガポール商品取引所
原油価格
※WTI 月末終値(USドル/バレル) 資料:ニューヨークマーカンタイル取引所
こうした状況を踏まえた将来予測と、横浜ゴムの強み、弱み、リスクと機会を分析した上で、中期経営計画の戦略を実行していきます。
中期経営計画グランドデザイン100(GD100)
GD100は、横浜ゴムグループが2006年度からスタートさせた中期経営計画です。創業100周年にあたる2017年度に「企業価値・市場地位において、独自の存在感を持つグローバルカンパニーを目指す」ことをビジョンとし、2006年度策定当初に2017年度の長期財務目標として売上高1兆円、営業利益1,000億円、営業利益率10%を掲げました。
GD100は3年ごとに4つのフェーズに分けており、2014年度で3フェーズ(9年間)を終了しました。2012年度から2014年度のフェーズⅢでは、3年間合計で売上高1兆8,000億円、営業利益1,500億円、営業利益率8.3%を掲げましたが、結果は売上高1兆7,866億円、営業利益1,654億円、営業利益率9.3%となり、売上高は目標を下回ったものの、ほかの2つは目標を上回ることができました。現在は2017年度に売上高7,700億円、営業利益800億円、営業利益率10.4%を目指すフェーズⅣに取り組んでいます。
PhaseⅣ「成長力の結集」
フェーズⅣ(2015年-2017年)はGD100の集大成であり、次の100年における飛躍に向けた布石を打つとともに、これまで積み残されてきた課題を払拭するフェーズと位置づけ、テーマを「成長力の結集~YOKOHAMAの可能性を結集して、次の100年を切り拓く~」としました。これまでの各フェーズで取り組んできた「成長」、グループ全体の成長、個々の成長など、あらゆる成長力を結集して事業活動に取り組む考えです。定量目標として、2017年に売上高7,700億円、営業利益800億円、営業利益率10.4%の達成を掲げました。
GD100の戦略を実行していく中で、次の価値を創造し、社会に提供していくことを約束します。
ステークホルダーに提供する価値(横浜ゴムの重要課題)
- お客さま
心と技術を込めたモノづくりにより安全・安心な商品を提供します - 従業員
人を大切にし、人を磨き、人が活躍する場をつくります - 株主・投資家
事業を成長させ企業価値を高めます - 地域社会
地域社会の繁栄・発展に貢献し、社会からゆるぎない信頼を得ている地球貢献企業になります - 環境
青い地球と人を守るために、環境との調和を通じた持続可能な社会づくりに貢献します - 取引先
バリューチェーンを通じたCSR活動を推進します
サステナブルな社会に向けた技術開発
タイヤシミュレーション技術で「ライフェン2014」イノベーションアワードを受賞
横浜ゴムはシミュレーションを活用した次世代環境対応技術の開発を積極的に進めています。藤井孝藏教授(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)と開発した流体音響シミュレーション技術が、世界最大級のタイヤトレードショーの一つである「ライフェン2014(ドイツ)」で、「技術/製品」分野の最優秀賞「イノベーションアワード」を受賞しました。
ほぼ実スケールで路面上を回転するタイヤ周りの空気の乱流から発生する騒音を世界で初めて捉えることに成功しました。この技術をさらに進めることで、走行中の車両の通過騒音を下げて生活環境をよくすることや、走行時のタイヤの空気抵抗を下げて一層低燃費性能の向上につながることが期待されます。
また、タイヤ周辺の空気の流れを正確にシミュレーションできることから、「フィンタイヤ」などのコンセプトタイヤを提案し、注目を集めています。
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図1:実タイヤ走行時にタイヤ周りから発生する騒音を世界で初めて捉えています
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図2:「技術/製品」分野の最優秀賞「イノベーションアワード」の楯
http://www.y-yokohama.com/release/?id=2256&lang=ja&category=0203&year=2014
バイオマス由来の合成ゴム(ブタジエンゴム)の新技術を開発
当社は、国立大学法人東京工業大学(大学院総合理工学研究科 馬場俊秀教授)との共同研究により、バイオマス(生物資源)であるセルロース(植物繊維の主成分である糖)から直接ブタジエンを合成する触媒の開発に成功しました。
石油から工業的に生産されるブタジエンは、自動車タイヤなどの原料となる合成ゴム(ブタジエンゴム)の原料として使用されています。
今後、量産化に向けた触媒設計を進め、2020年代前半を目標に実用化を目指します。
この新技術の開発は、化石燃料の使用削減につながり、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素削減に貢献できます。
バイオマスを原料とした合成ゴム(ブタジエンゴム)合成のイメージ
http://y-yokohama.com/release/?id=2479&lang=ja
ゴム技術の研究で、日本ゴム協会から4名表彰を受ける
当社の技術者4名がゴム技術の研究に関して、一般社団法人日本ゴム協会の「第53回ゴム技術有功賞」および「第62回優秀論文賞」を受賞しました。
「ゴム技術有功賞」は会員の中からゴムおよびプラスチックス工業に関連する生産技術の向上に顕著な功績があり、業界に貢献した技術を表彰するもので、横浜ゴムの阿波根朝浩のみが受賞しました。「優秀論文賞」は過去3年間に同協会誌に発表された論文の中から特に優秀なものを表彰するもので、28論文の中から横浜ゴムの網野直也/佐藤正樹/石川泰弘の論文を含む2件が選ばれました。
http://www.y-yokohama.com/release/?id=2470&lang=ja&sp=20&year=2015
横浜ゴムの航空機構造用プリプレグ、「未来技術遺産」に登録
当社の航空機構造用プリプレグが、独立行政法人国立科学博物館(東京都台東区)が認定する2014年度の「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」に登録されました(登録番号00154号)。登録証と記念楯の授与式が9月、国立科学博物館で行われました。
プリプレグはガラス繊維や炭素繊維に樹脂を含浸させたシートで、これを重ね合わせて所定の形状とし、加熱硬化して繊維強化プラスチックとなります。当社が1978年に開発したプリプレグが米国ボーイング社の厳しい品質管理の要求をクリアし、国産材料として初めて航空機の構造用材料として認定されたことが評価され、同製品の生産拠点である平塚製造所(神奈川県平塚市)に現存する認定当時のプリプレグサンプルが登録遺産となりました。
2014年度は49件の未来技術遺産が登録され、これまでに合計184件が登録されています。
「未来技術遺産」の記念楯および登録証
http://www.y-yokohama.com/release/?id=2333&lang=ja&category=0401&year=2014
タブレット端末などに最適な無色で透明性の高いブルーライトカットフィルムを開発
当社は、液晶ディスプレイのバックライトに使用されるLED光源から発せられるブルーライトをカット(減衰)しながら、無色・透明で液晶ディスプレイの本来の色彩を損なうことなく再現できるフィルム「YF-Rシリーズ」を開発しました。無色・透明のフィルムでブルーライトの波長域全体を効果的にカットできる技術は世界初です。目にやさしく、自然な色合いを再現しやすいため、タブレット端末やPC、スマートフォン向けに採用促進を図っていきます。
http://www.y-yokohama.com/release/?id=2480&lang=ja&category=0700&year=2015
ウレタン塗膜防水材「アーバンルーフNX-3工法」
当社はビルやマンションなどの防水材「アーバンルーフNX-3工法」※が、環境省2014年度環境技術実証事業(ETV)の「ヒートアイランド対策技術分野」において実証番号(051-1410)を取得しました。環境技術実証事業は、募集した先進的環境技術の評価試験を行い、客観的に環境保全効果を実証することで地方公共団体や企業などへ環境技術の普及促進を後押しする事業です。
当社は、実証番号を取得したことで従来の販売先に加え、ヒートアイランド対策に取り組む施主や設計事務所などに対してより積極的に採用提案を働き掛けていきます。
その実証結果は環境省ホームページの「実証済み技術一覧」で公開されています。
※「アーバンルーフNX-3工法」
下塗り材に「プライマーU-300KZ」、中塗り材に低熱伝導率のウレタンゴム系防水材「アーバンルーフNX」、仕上げ塗料に高反射率塗料「アーバントップHシャネツ」を使用。
ヒートアイランド対策効果に加え、低比重(比重1.0)のため、建物の軽量化が図れることから建物の長寿命化や商品運搬時のCO2排出量を低く抑えられます。さらに、ベンゼンやトルエン、キシレンなどの有害な有機溶剤を含まない環境負荷低減商品です。